設立の目的
当研究所は、東京大学名誉教授・日本学士院会員の中村元博士(1912~1999:島根県松江市生まれ、文化勲章受章者、インド哲学・仏教学)によって創立され、「東洋思想の研究およびその成果の普及」のために活動しています。
今日その活動は広く認められ、内閣府から「公益財団法人 中村元東方研究所」として認定されました。
基本理念
創立者中村元が掲げた当研究所の独自性は、以下の3点です。
- 生きた学問としての東洋思想研究
- セクショナリズムを越えた東洋思想研究
- 自発的・自立的な東洋思想研究
設立の意義と特徴
当研究所は、「東洋思想の研究およびその成果の普及」を目的に、中村元初代理事長によって設立されました。我が国には東洋思想の研究機関が少なからずありますが、本研究所の特徴がどこにあるのかが、初代理事長によって設立当初の社会状況を踏まえ、以下の通り示されておりますので、ここに掲載いたします。
「東洋思想の研究は、すでに諸大学で行なわれているところであり、別に研究機関を設ける必要はない、と思われるかもしれませんが、この東方研究会は、はっきりとそれらとは区別される特徴をもっております。
第一に、東洋の思想的伝統が現在の世の中において、あるいは未来の世界において、いかなる意義をもつものであるか、ということを検討して、価値評価を行ないます。単なる死物としては扱いたくありません。
第二に、わが国の人文科学の学界では諸外国に比してセクショナリズムが顕著でありますが、それは外国の学問を鵜呑みで取り入れるには便利かもしれませんが、独創的な学問を発展させるには向いておりません。 当研究会では従来の傾向を打破し、諸学徒の意見交換を活発敏速に行ない、新らしい学問の創造をめざします。わが国における人文科学の現在の諸分科の構成は、明治末期から大正初期に形成されたものがそのまま存続していて、すべてグローバルに考察さるべき今後の状勢に適合しておりません。その目的のためには諸学徒の研究の緊密な交流・相互支援が必要であります。研究所を特に交通の便利な場所に設立したのは、そのためであります。
第三に、現在の大学では、狂激なる一部学生の行動に対して処罰することもなく、放任している傾向があります。それを避けるためには、研究団体は先ず共同体的な精神的な雰囲気の中から自然に出発するものでなければなりません。自然科学などの場合と異なり、予め枠をつくったり、予算規模を設定するというだけでは、順当な発展は困難であります。当研究会では研究者相互の信頼関係を軸にして、徐々に発展をはかっておりますので、一般社会における騒ぎにわずらわされず、発展致しております。」
こういう特徴を具えた研究団体を一層発展させたいと願っておりますので、御共鳴下さる方々は、よろしく御指導・御支援のほどお願い申し上げます。
設立から現代に至る経緯
- 昭和56年3月20日付けにて、文部省から試験研究法人としての指定を受け、昭和56年4月3日官報に告示。
- 昭和56年3月20日付けにて、日本育英会の免除職を置く研究所としての指定を受ける。
- 平成12年1月14日付にて、特定公益増進法人として認可を受ける。
- 平成20年10月23日付にて、特定公益増進法人として文部科学省より再度認可を受ける。
- 平成23年7月13日付にて、特定公益増進法人として文部科学省より再々度認定される。
- 平成24年6月27日付にて、公益財団法人としての認可を受ける。
以上の指定を受けました派生的な結果として、当研究所の常勤の研究職員は奨学金返済を長年にわたって免除された実績があり、当時多くの研究者への責任を果たせたと自負しております。
平成12年1月14日付で特定公益増進法人に認定されておりました当研究所ですが、特定公益増進法人認定の法的根拠となっていた育英会法が平成15年に廃止されたことに伴い、新たに財務省が認可に関わることになったため、平成18年に特定公益増進法人の認定が切れることになりました。この事を受けて、同法人の継続認可に向け、平成17年7月より文部科学省ならびに財務省との協議を開始し、足かけ三年にわたる協議の結果、平成20年10月23日付で特定公益増進法人として文部科学省より再度認定され、また、平成23年7月13日付で、文部科学省より特定公益増進法人として文部科学省より再々度の正式認定を受けました。
平成24年6月27日付で内閣府から公益財団法人としての認可を受けております。従いまして、当研究所へのご寄付は税法上、損金算入の適用が受けられます。